卒塔婆供養
卒塔婆(そとば)は、お墓の後ろに立てる木の板のことで、法事などの際、亡き方のご供養のためにお立てします。
戒名や供養者名などをお書きします
表面には戒名や回忌、そして立てられた方のお名前などをお書きします。
よくお葬式などでお花を供養されるときに、氏名を書いてもらいますね。
供花の木札に筆文字で「山田 太郎 」のように自分の名前を書いてもらい、会葬者に見えるように祭壇横に供えられます。
同じように卒塔婆には、供えられた方のお名前を書き入れますので、
故人への感謝、御供養の印として卒塔婆は最適です。
卒塔婆を建立後もしばらくはお墓に立てたられたままなので、お墓参りの際に目にすることが出来て、御供養の証となります。
サイズがあります
卒塔婆には長さが数種類あり、尺で表されます。
4尺、5尺、6尺など。
1尺が約30㎝なので、×30をすると大体の長さが分かると思います。
例えば4尺は4×30=120 →約120㎝というように。
東京は5尺が一般的
経験上、東京で一般的なのは5尺塔婆です。
約150㎝の卒塔婆をお墓に立てられる方が多いです。
卒塔婆の長さは地域や墓石の大きさ、形にもよりますので、
石塔が大きければ6尺、
小さめのお墓や洋風スタイルの墓石なら4尺など、その家のお墓に合うサイズをお選び頂ければ良いと思います。
申し込みはお早めに
卒塔婆の表面には亡き人の戒名などを筆でお書きするのですが、
墨字をしっかり乾かした状態でお立てしないと、雨が降った時などに墨が流れ落ちてしまう場合があります。
法要の最中に雨が降り始め、卒塔婆の墨字がダラダラと流れ始めたら、それはもう残念ですよね…。
ですので、卒塔婆のお申し込みはなるべくお早めが良いと思います。
私も受注後はなるべく早めに書き上げるようにしています。
今日も卒塔婆を書く予定ですが、それは来月の法事の卒塔婆です。
なぜ「卒塔婆」というの?
それにしても「卒塔婆」なんて、少し変わった漢字の組み合わせですね。
「卒塔婆」の由来はインドにあります。
卒塔婆は仏教のアイテムですが、
その仏教はインドで始まったことをご存知でしょうか。
今から約2500年ほど前にお釈迦様によって始まりました。
卒塔婆は、古代インドのことば「サンスクリット語」の「ストゥーパ」という言葉が語源で、
お釈迦様の遺骨を納めた塔をあらわします。
インドには、日本のようにお墓をつくる習慣はありません。
現在でも遺体を火葬したあと、のこった遺骨(灰)をガンジス川に流します。
川への「散骨」が行われるわけです。
しかし、お釈迦様は特別な存在だったため
ご火葬後の遺骨を川に流さず、お墓として残すことになりました。
当初お釈迦様のお墓は、
お椀をふせたような形の盛り土だったようですが、
しだいに「石造りの塔」に作り変えられていきます。
そして、お釈迦様の遺徳を崇拝するため
インド各地に分骨されることになります。
ちなみに日本では遺骨を分骨をしたりしますが、
このようにお釈迦様の遺骨も分骨されていることから、
「節度をもって行えば分骨は悪いことではない」
というのが分骨に対する日本仏教の見解です。
その後「ストゥーパ」はシルクロードを通って中国へ伝わると、
「ストゥーパ」に「卒塔婆」が音写されます。
ストゥーパの発音に近い「卒塔婆」という漢字が当てはめられたのです。
ストゥーパには台が付き、
暑さや雨風をしのぐ意味から屋根がつけられ、
五輪を石などでかたどって積み上げた「五輪塔」へと発展していきます。
それが日本に伝わると、
五重塔など高さのあるうつくしい建築物へと変化していきます。
法隆寺の五重塔は有名ですね。
そして各家庭の追善供養のために作られたのが「板塔婆」です。
板塔婆の上のあたりのギザギザした部分は
「五輪塔」がかたどられていて、
「空風火水地」という
宇宙の五大要素によって人間が生かされていることがあらわされています。
卒塔婆の由来からも分かるように、
板塔婆を一本お墓へ立てるということは、
「仏像」を一体お上げするのと同じくらいのありがたみがあるといわれます。
魂が入れられた卒塔婆を供養できれば、
きっとご先祖さまにも喜んでいただけそうですね。
どなたでもお申込頂けます
施主の方だけでなく、ご家族や親族の方など、卒塔婆はどなたでもお立て頂けます。
ご法事やご命日などに合わせて、故人と縁の深い皆さまで卒塔婆を供養されてみてはいかがでしょう。