ペット供養
近年、ペットを家族の一員として生活される方が増えています。その分ペットを亡くした時の哀しみは大きく、辛い思いをされている方も多いと思います。
命の営みを共に
わが家も動物好きな家系で、私が子供の頃は猫を飼っていました。
今は住居の都合上、動物は飼っていませんが、小学生の息子が玄関で昆虫をたくさん飼育しています。
ペットの多くは命の寿命が短く、
どれだけ可愛がっていたとしても、その時が来ると命の営みを終えてしまいます。
亡くなった子たちを家族で見送る時、
私たちが命の尊さや儚さ(はかなさ)を学ぶ機会でもあるといつも感じます。
そして家族と共に心から弔うことで、亡きペットも安らかに旅立つのだと思います。
悲嘆・悲しみ
ペットロスという言葉があるように、ペット喪失による悲嘆はとても大きなものです。
以前、ペットのお葬式に僧侶としてはじめて伺う機会がありました。
亡き愛犬に対してお経を上げてほしいということで、
もちろんペットだからといって決して軽く見ていたわけではないのですが、
まだ私自身若かったこともあり、人のお葬式よりも少しおだやかな気持ちで訪問したことを覚えています。
ところがそのお葬式、私がそれまでに伺ったどんな人のお葬式よりも、悲嘆されているご家族の姿があったのです。
お父さんお母さん、息子さん娘さん、ご家族全員が号泣されていて、
読経中、私が子供の頃に飼っていた猫が急逝したときの悲しい思い出ともつながり、導師である私まで感極まって泣き出してしまいそうになり、必死に涙をこらえたことを記憶しています。
魂が天国にいけるように
ペットの心は純朴です。どんな子も仏さまに近い性質を生まれた時から持ち合わせています。
私たちがきちんと供養をすれば、仏さまのお導きによってたちまち成仏をされますのでご安心下さい。
ペット供養では、人を亡くされた際に行う法要と同じようにお勤めいたします。
亡くなられたペットの遺骨や位牌、写真などに向かいお坊さんがお経を唱えます。
参列者は線香を焚くなどして手を合わせます。
読経の最後にペットのお名前を読み込みご回向(えこう…仏様へ供養の心を届けること)をします。
法要の種類
法要の種類はさまざまですが、人が逝去した際にご遺族が順に行われる法要と同じように行うこともあります。
葬儀式に始まり、初七日法要~四十九日法要、一周忌、三回忌といったようにです。
これはペットの霊位が安らかに成仏できるよう、
お坊さんを中心に読経供養を行う「追善供養」(ついぜんくよう)という仏教儀式です。
この追善供養がお互いの心をつなぐ架け橋となり、亡きペットが天国へと歩まれる後押しになります。
ですが、現状ではペットの仏事を受け付けてくださるところはまだまだ少数です。
ペット霊園などのお墓を所有していることが条件だったり、供養を受け付けてもらえても年に何度かの合同法要のみであったりします。
ですので思うようにご供養できない場合もあるかもしれません。
その場合、ご無理のない範囲で結構ですので供物をお供えし、
日々の中で心を込めたお参りを心がけるようにしましょう。
犬の十戒
このページの最後に犬の十戒を掲載して終わりたいと思います。
① 私の一生はだいたい10年から15年。あなたと離れるのが一番つらいことです。私と暮らし始める前に、どうか別れのことを考えておいてください。
② あなたが私に何を求めているのか、私がそれを理解するまで待って欲しい。
③ 私を信頼して欲しい、それが私の幸せだから。
④ 私を長い間叱ったり、罰として閉じ込めたりしないで欲しい。あなたには他にやる事があって、楽しみがあって、友達もいるかもしれない。でも、私にはあなたしかいないから。
⑤ 私にちゃんと話しかけてください。あなたの話している言葉の意味はわからなくても、話しかけてくれるあなたの声はよくわかるのです。
⑥ あなたが私にどんなふうにしてくれたか、私はそれを絶対に忘れません。
⑦ 私を殴ったり、いじめたりする前に覚えておいて欲しい。私は鋭い歯であなたを傷つけることができるにもかかわらず、あなたを傷つけないと決めていることを。
⑧ 私が言うことを聞かないだとか、頑固だとか、怠けているからといって叱る前に、私が何かで苦しんでいないか考えて欲しい。もしかしたら、食事に問題があるかもしれないし、長い間日に照らされているかもしれない。それか、もう体が老いて、弱ってきているのかもしれないと。
⑨ 私が年を取っても、私の世話をして欲しい。あなたもまた同じように年を取るのだから。
⑩ 最後のその時まで一緒にいて欲しい。「かわいそうで見ていられない」なんて言わないで。あなたが隣にいてくれることが私を幸せにするのだから。忘れないで下さい、私はあなたを愛しています。
ペットの存在は時に家族以上かもしれません。
幸せとは何かを教えてくれた尊い生命に、張り裂けるような胸を抱えながら気持ちを正して、ペット供養を営んでいただければと思います。